熱い熱暴走

ママー

ぐりとぐら

ぐり(45歳、某商社課長、趣味読書)「きょうも元気なぐら」

ぐら(47歳、貴金属貿易商、糖尿)「きょうも元気なぐり」


ぐり、ぐら、きょうも仲良くどんぐり拾い。

ぐり、ぐら、ぐり、ぐら。

ぐり「どんぐりいっぱい落ちてるね」

ぐら「そういや息子もさぁ、大学に落ちちゃってね……」

ぐり「…」


ぐり、ぐら、きれいな木の実を見つけたよ。

ぐり、ぐら、ぐり、ぐら。

ぐり「きれいな木の実を拾ったよ」

ぐら「ほんとだ。きれい、きれい」

ぐり「そういや愛人と手切れ金のことでもめててさ……」

ぐら「…」


ぐり、ぐら、びっくり、木の実に虫がいた。

ぐり、ぐら、ぐり、ぐら。

ぐり「木の実に虫がいたんだよ」

ぐら「冬を越そうとしてるんだね」

ぐり「そういやうちが出資してるマレーシアの半導体工場が

アジア危機のあおりを受けて減価償却できないみたいんだ。

うちの会社もヘッジファンドの影響ってのはある程度

あるんだけど、株価が150円を切っちゃっててさ、

冬を越せるんだが。」

ぐら「うちでもペルーのサファイアが急落しちゃってさ、

先物で買ったのが全部パァだよ。

女房も怪しげな宗教にはまっちまうし、

そろそろ離婚しようと思うんだ。息子も大きくなったから

少しは分かってくれるだろうし。」

ぐり「…」

ぐら「…」


それからふたりは歌舞伎町のスナックでのみなおし。

ビール2本で8万円。

ぐり、ぐら、ぐり、ぐら。

怖いお兄さん、出てきたよ。

ぐり、ぐら、ぐり、ぐら。

木の実じゃ払えないらしい。

ぐり、ぐら、ぐり、ぐら。

身分証明書取られたよ。

ぐり、ぐら、ぐり、ぐら。

コナカのスーツを奪われた。


きょうも死に出の日が近づいたぐりとぐらでした。